2012-10-07 :-)
_ [ソニー][プレイステーション]ソニーの革命児たち―「プレイステーション」世界制覇を仕掛けた男たちの発想と行動
読んだ。
1998 年の本。プレイステーションの開発と販売についてあーだこーだしたプロジェクトX 的な自伝。SCE を含めてソニーグループ企業はもちろん、任天堂、ナムコ、コナミ、セガ、スクウェア、ポリフォニーデジタル、などといったメーカーとの関連もありゲーム好きな人間ならば読んでいて面白い。
SCE はソニーの社内ベンチャーであり云々という話題があったとかなかったとかいうらしいんだが、(SCE はソニーグループだからベンチャーといえばベンチャーなんだろうけど) 新たに事業を興す、と捉えればベンチャーとか関係なく読める。
久夛良木健 についてもまったく知らなかったんだが、もともとハードウェア屋さんであり新たなアーキテクチャのアセンブラをごにょごにょ書くなどして普通に技術者だった。お、おう....
- 打倒任天堂
- アーキテクチャを内製
- ライブラリも内製してソフトウェア屋へ提供
- マーケティングは新規(ソニー・ミュージックの経験を生かした)
- 広告は最初にコアユーザー(10~30万人)を狙う
- 1000万台突破して裾野が広がったので広告を生活に結びつけた(彼氏彼女が居ない暇なひとどうぞ、みたいな)
将来に向けて技術力を高めるために内製にした、というのは理解できるけどそんなこと出来る組織はそうそう無いだろ ('A`)
ちらほら引用。
プレイステーション開発の発想の仕組み。
- どうやったら、うまくいくのか
- そのための必要条件は何か
- その条件を満たすために足りないことは何か (p.74)
プレイステーションの CD-ROM について。プレイステーションローンチタイトルとしてのリッジレーサーのようなので初代リッジレーサーであろうけど、あのゲームはたったの 2 メガバイトですってよ。EOS M で撮影した RAW 画像は 20 メガバイトありますよ。
ナムコの第一弾のリッジレーサーの場合、データ量はわずか 2 メガバイトである。CD-ROM の総容量は 650 メガバイトだから、たった 0.3 パーセントしか使っていないことになる。そこで、ナムコのクリエイターたちは何をしたのか。プレイステーション本体がリッジレーサーのプログラムデータを CD-ROM から 2 メガバイト分読み込んだら、あとは CD-ROM には用はない。その残りがあまりに多いので、余剰部分に音楽データを入れたのである。ちなみに彼らは、この 2 メガバイトのデータを読む間にもミニゲームをたちあげて、プレイヤーにアクセス時間を気づかせない工夫をした。
この音を再生しながらゲームを楽しむというのが、リッジレーサーのもう一つの隠れたセールスポイントとなった。大容量の CD-ROM を小容量に使うユニークさが、クリエイターに大ウケだった。後にゲームマニアたちは、この仕掛から、一回データをロードしたあと別の音楽ディスクに変えても、ゲームあはそのまま続行できるということを発見した。すると、演歌を聴きながらリッジレーサーで車を飛ばしたりする楽しみ方をするユーザーも出てきた。(p.112)
ソフトをたくさん作ってもらうための心構えについて。イイハナシダナー
ソフトメーカーを自陣営に呼び込んだら、次のステップとし て、いかにソフトをたくさん出してもらうかが鍵となる。ソニー・ミュージックには、こんな仕事の基本姿勢がある。
「レコード会社ではいちばん偉いのは、誰だと思いますか、麻倉さん?」 {麻倉はこの本の著者}
「それは丸山さんのような、トップじゃないんですか?」
「レコード会社でいちばん偉いのは、プロデューサーでもディレクターでも、まして社長でもありません。それはミュージシャンなんです。ミュージシャンは神様である、と思わなければなりません。たとえ新人であっても、そういう気持ちで接する。もちろん新人は、十人が十人売れるわkではありませんんが、たとえ売れない新人であっても、そういう気持ちで接するんです」
丸山によると、新人に対して冷たく当たると、あとで、ひどいしっぺ返しをくらうこともあるという。辞めてもらった新人が将来メジャーになった場合、以前冷たく扱っていたら、関係は悪いままだが、丁寧にアーティストとして面倒を見ていれば、あとでどんなチャンスが来ないとも限らない。
「だから、新人のアーティストには謙虚であることです。これがソフト会社の本質です」(丸山) (pp. 113-114)
プレイステーションの三次元コンピューターグラフィックス技術「システムG」について。システムG については Colorful Pieces of Game::西田氏の漂流するソニーのDNAを読んだ とか 北九州イノベーションギャラリー - 世界を夢中にさせた日本のゲーム /テレビゲーム
放送機器の特殊効果用として開発したのがシステムGなんです。汎用ではなく、一つの目的に向けた専用機だったために、他のことは考える必要がないから、性能を極限まで上げられました」(大場) (p.196)
プレイステーション本体の部品点数を削減していくことについて。せやね
安い部品でも 100 個使うと、そのための生産設備が必要になり、当然生産スピードも落ちます。ところが 100 個の部品が 1 個に統合されるなら、その分の生産設備は必要なくなり、行程も単純化して生産スピードが飛躍的に上がるんです」(田尻) (p.217)
4872803507